院長の部屋

最近の受診数の多さにつきまして

 特に最近、受診される患者様の数が非常に多く、明らかに時間に収まらない場合にはお断りせざるを得ない場合が多くございます。誠に申し訳ございません。

 原因の一つは、季節柄インフルエンザの予防接種を多く行う時期であり、このために、結果的には通常の診療時間を圧迫してしまっているという点です。この点につきましては、病気の予防という観点からも、何卒ご理解を頂きたいと思います。


 ただし、もう一つの理由もわかっており、ここ最近当院を初めて受診されるという患者様のほとんどが、鶴岡市内からであるという点です。この方々がふだん受診されている医療機関の受診予約が取れずに困ったので受診しました、という方が非常に多くいらっしゃいます。
 この点につきましては、当院としてもできる限り対応してきておりましたが、その結果、ふだん当院を受診されている患者様をお断りすることが出てきてしまったことも事実です。これは本当に申し訳なく、何かしらの改善を考えなければならない状況になってしまいました。

 この状況はすでに鶴岡市役所の担当部署に相談しており、医師会にも伝えたとのことでした。しかし、実際のところは自治体としては要望をするほかなく、直接の策があるわけでもないことも事実です(市立病院のあり方についても話になりましたが)。
 そこで、いつとも言えませんが、この状況がまったく変わらないようであれば、落ち着くまでの間、鶴岡市内の新規の患者様はお断りせざるを得ないと考えています。その旨も既に鶴岡市役所の担当部署にはお話ししております。

 なぜ鶴岡市内限定かと思われるでしょうが、細かい点は敢えて省かさせて下さい。ここで書くにはあまりにも問題が大きくなってしまいます。結局は、ここ最近の新規患者のほとんどが鶴岡市内というためですが、その理由もはっきりとしております。ここから先は、そもそも小児一次医療で予約制が成り立つのかどうか、などの議論になりますし、鶴岡市役所側には伝えておりますので、将来を見据えて何らかの策を考えてくれることを期待しております。

 ちなみに、小児科の一次診療(普通の風邪とかの受診ということです)における予約制の是非についてですが、是非としては状況次第で変わるのは当然ですが、当院の考えとして以前ここに書いたことがあるのですが、少なくとも私個人の考えでは、成り立たないと考えております。理由はいくらかありますが(それも以前書きましたが、バックアップファイルがありません(´・ω・`))、現実的に一番分かりやすいと思われる理由の一つは、「システム設定上の診察時間が終わったら強制的に診察終了」ということです。時には時間のかかる診察も当然あります。ですが、その際にも設定時間になったら診察を終えないと、次の患者様の予約時間なのです。まあ、そのようにならないように余裕をもって時間を設定するのですが、そうすると今度はそもそもの予約数が少なくて、誰も診療してもらえない、ということになります。途中で予約していない患者様を診れるようにも設定するはずなのですが、この場合状況次第では、予約していなければ、たまたま予約患者が途切れなかった場合、延々と何時間も待たされる可能性もあるわけです。それを避けようと途中で診察に入れると、今度は予約患者の時間が押して、何のためにこの時間に予約したのか分からない、となるわけです。で、今度はそれを回避するために指定時間の予約ではなくあくまで順番に予約、とすると、いつ受診の時間なのかが結局分からず、早くいってもどこで待てばいいのか、遅れると延々と後ろに回されるのはともかく、医療機関側にしても遅れた患者を何回も呼び続ける手間になるし、ということになるわけです。専門性の高い診療、具体的には総合病院の予約を想像して頂ければわかりやすいと思うのですが、この場合は、だいたいの時間も読めますし、途中で予約していない患者様がおられないのが前提ですから、予約システムが成り立ちます。ですが、特に小児科の一次診療では、そうもいきません。これが、都会の真ん中で医療機関を選びようがあるのであれば、恐らく問題は生じないのでしょう。ですが、地方の、人が慢性的に足りていない状況では、正直成り立つわけがないと、私は考えています。

 それでも予約システムを導入せざるを得ない理由ははっきりしています。まずはコロナのせいでいろいろ制限されたためですが、もうひとつ、スタッフ不足が原因であることは明らかです。ただ、それを理由とするのであれば、当院も全く同じ状況です。慢性的なスタッフ不足です。それでも頑張っているのです(みんな苦労かけて申し訳ない、ありがとう ('◇')ゞ )。この混雑具合がひどいのは、インフルエンザの予防接種が始まる前から、そう、コロナが5類になってからの5月からずっとです。5類になったにもかかわらず、成人はともかくとして、小児科でいまだに発熱外来として完全に区別していてごく少数しか診療していなかったり、そもそも発熱の患者はいまだに絶対院内に入れない、などとしている医療機関があれば、それは当然でしょう。


 ということで、制限をしなくても済むのであれば、それに越したことはないのですが、そうならないように、特に鶴岡市内の方であれば、鶴岡市役所の担当部署、もしくはかかりつけ医に、ある程度の声は上げても良いのではないでしょうか。現状のままでは、地域の小児医療が成り立ちません。


 結局、なんのためにこのような話を出したかという結論なのですが、「普段当院を受診されている子どもたちを少しでも多く診療してあげたい」ということなのです。そこが原点です。コロナの最中みたいに、子どもに我慢しろとは出来る限り言いたくないのです。そのために単独でできることには限界があっても、地域全体としてならお互いに支えあってやっていけるのでは、という気持ちでずっとやってきています。がしかし、それがあまりに一方的であれば、こちらとしても協力できることに限界がある、ということなのです。

 何らかの進展がありましたら、また掲示したいと思いますが、それまでの間、どうしても数が多すぎてすべての方を診療できない場合もあろうかと思いますが、しばらくの間は何卒ご理解頂きたく存じます<(_ _)>。

(2023年10月)